「自分に嘘はつけない」
20年弱勤めた生命保険会社からの転職を決断したTさん。転職目的は「家族のために転勤のない企業に転職すること」でした。
しかし、最後に転職先を決めるのは自分自身。
自分はどんな企業で働きたいと思っているのだろう・・・
転職活動を続けるなかで見つけた、本当の自分の思い。なにかと責任の重い年代の転職活動エピソードです。
相談者プロフィール
- 40代前半 男性
- 国内生命保険会社勤務
- 転職活動期間:約2ヶ月
- 応募企業:2社
約20年のキャリアを捨ててまで、なぜ転職?
新卒で入社した生命保険会社に20年勤め、支社長を任されるほど活躍されていたTさん。私はC社のコンプライアンス業務担当者候補としてスカウトし、面談をさせていただくことになりました。
実際にお会いすると、現職で支社長を任されているだけあり、信頼感と明るさ、コミュニケーション力のバランス感をお持ちであることは明確で、人間力を感じました。
ただ、そこで湧く疑問…
順調にキャリアを積んでいるTさんは、40歳を超えてなぜ、転職を考えているのか・・・
理由を率直にお尋ねすると、Tさんの表情は一転、少し神妙な面持ちで「とにかく転勤のない会社へ転職したい」とおっしゃったのです。
現職は2~3年に一度のペースで全国転勤があり、もちろん入社時は全く苦にならなかったが、現在は状況が違う。
聞けば30代後半で結婚し、その後2人のお子さんに恵まれたが、昨年まで地方に単身赴任。その間お子さんが精神的な不安状態に陥り、奥様もお一人で苦労された、と。なので今後はお子さんとずっと一緒にいられるように、転勤のない会社へ転職したい、とのことでした。
希望の企業だったのに・・・ミスマッチを感じる面接
C社へ応募することになったTさんは、書類選考を通過し一次面接へ進みました。
志望理由も明確で志望度も高い、Tさんならきっと面接もうまくいくだろうと思っていました。しかし、面接後に感想をお伺いすると、「仕事の内容は興味深かったが、面接官の印象が良くなかった、私とは合わない感じがしました」と予想外の反応。
C社への志望度が高かった分、落胆されている様子でした。Tさんは日々明るくコミュニケーションすることを意識しているような方なのですが、C社の面接官は淡々とされており、面接での会話も広がらず尋問のようだった、というのです。
面接の感想を聞いた私は、「今回の面接官の印象だけで企業の雰囲気を判断するのは早い」、「もし一次面接を通過したら二次面接の面接官ともお話して判断しましょう」、とアドバイスしました。しかし一方で、「このまま本当にC社をお勧めしていいのかな」と悩みました。
やはり“肌が合う”という直感は、転職先を選ぶうえで大切だと思っているからです。
Tさんの転職を成功させたい!ピンと来たB社への交渉
そこで私は担当しているB社に、「このような方がいるのだが応募できる求人はないか」、と連絡してみました。
B社もC社と同様に転勤がないうえ、明るく前向きである人物像を重視して採用をしているため、Tさんのお人柄と非常にマッチしている、と考えていました。
するとB社から、お客様からの幅広い問い合わせに対応し、その問い合わせ内容を踏まえたサービス企画を推進するポジションはどうかとお話をいただきました。Tさんは20年間のキャリアの中で、営業、本社事務、グループ会社出向、支社長と様々なポジションを網羅的に経験されています。
まさにその全てを活かせるポジションであったため、私はTさんにB社の紹介をさせていただくことにしました。TさんはC社の志望度が高かったため、初めは全く乗り気ではありませんでした。
しかし企業の求める人物像とTさんが非常に合うこと、また約20年の経験を十分に活かせるポジションであることを説明すると、「応募してみたい」と返事をいただくことができたのです。
「良い企業に出会えた!」C社の面接後とはまるで違う反応
B社の書類選考を通過したTさんの一次面接はどうだったのか。C社との面接後のような反応は聞きたくないな と不安もありつつ感想をお伺いすると、
「とても良い企業と出会えたと思います!」と明るい声。
「面接官との会話が盛り上がり、時間も忘れてあっという間に面接が終わってしまった、もし最終面接に進めたらもっとお話を聞きたい」、 とのこと。
こんなにも反応が違うのかと驚きました。そして何よりもTさん自身が、自分の本心に気づけたことが大きな収穫でした。
Tさんは家族のために転勤のない企業へ転職できれば良いと思っていたけれど、転職するならやっぱり、自分自身と肌が合う企業に行きたいという、1番大切なことに気づくことができたのです。
これはC社だけ応募していたら気づけなかったことなのです。無事B社の最終面接に進み合格、内定となったTさんは、20年勤めた現職を退社されB社にご入社されました。休日出勤もなくなり、ご家族と過ごす時間も増えたそうで、「週末にお子様と料理をすると子供が楽しそうに笑っている」と嬉しそう。
今後転勤がないことで、奥様も安心されているようです。家族の希望を叶えるための転職も大事ですが、やはり1番大事なことは、自分自身が転職して良かったと心から思えるか、だと思います。
Comments are closed.