「“大人の女性の転職”ならではの葛藤」
生命保険会社で事務系専門職として15年のキャリアを築いてきたYさん。
柔らかな大人の女性の印象である彼女が、内に秘めていた転職への想い・・・
転職エージェントに対して不信感を持つ彼女の本音を知ることができた私は、「良き伴走者」として転職のサポートをすることができたのです。
相談者プロフィール
- 30代後半 女性
- 外資系生命保険会社勤務
- 転職活動期間:約2ヶ月
- 応募企業:1社
大人の女性はそう簡単に心を開かない。本音の見えない面談
外資系生命保険会社2社で、トータル15年間生命保険の事務系専門職として働いていたYさん。
現職では次期課長候補として社内からも信頼されていたYさんに、立ち上げ間もない生命保険会社のチームリーダー候補としてお声がけし、お会いすることになりました。
Yさんは、柔らかい雰囲気の女性で、どちらかというと大人しい印象。優しい笑顔でこちらの話を聞いてくださるのですが、なぜ、私のお声がけに応えて面談に来てくれたのだろう・・・と不思議に思っていました。
こちらからYさんへ色々な質問をしても、回答はしてくれるものの、なんとなくYさんの本音が見えないまま30分ほどが経っていました。
そこで私は、「率直にお聞きしますが、現時点では転職することにあまり前向きではないですか?正直にお答えいただいて構いませんので」と笑顔で質問をしてみたのです。
「本当は・・・」Yさんの内に秘めた熱い想い
すると Yさんは、「これまで数名の転職エージェントの方とお話したことがあるのですが、あまりいい印象がなく、もう転職活動はやめようと思っていたところだったんです」と、話し出しました。
「これまで話した転職エージェントの方は、自分の実績や求人の紹介を一方的にするばかりで、私の話はほとんど聞いてきませんでした。」
「私が今何を考えていて、どんな転職をしたいと思っているかなんて、きっとどうでもいいんだなと思っていたんです。」
笑顔で聞き上手なYさんは、「きっとこれまで上手く自分から話ができなかったんだな」と思い、もう私から話をすることは止め、しばらくYさんのお話を聞くことに専念しました。
すると、
「今の職場環境に不満はないのだが、本当はこの年齢でももっと勉強して、自己成長できる環境に身を置きたい」
「チームで案件を進めていくことが好きなので、実は将来的にチームリーダーをやりたいと思っている」
など、Yさんの雰囲気からは予想もしなかったような、熱量のある想いを聞くことができたのです。
熱い想いだけでは前に進めない。大人の女性の正直な気持ち
そんなYさんにピッタリのチャレンジングな環境であるA社をご紹介し、応募することになりました。
その後面接に進み、私に話してくれた熱い想いを面接でもしっかり伝え、高い評価を得た結果、企業から内定を獲得しました。しかし、内定後少し時間が経ってYさんから私へ相談がありました。
応募からこんなにスムーズに内定が出ると思わず、いざ転職の決断を迫られる時になって急に不安になった、というのです。
「30代後半になって、気持ちだけで新たな環境にチャレンジして大丈夫なのか、現職に残れば昇格が決まっていて、年収も上がる・・・今更こんなことを言って申し訳ないが決断できない」と 。
嘘のない正直な大人の女性だからこその悩みだなと思いました。ただ、私も同じような経験があるのでYさんの気持ちがとてもよく分かりました。
環境を変えたい、チャレンジしたいという気持ちと、安定を求める気持ち。30代、女性、ならではの不安や悩み。だからこそ、私はYさんにこういいました。
「また今日も、素直にお気持ちを話していただきありがとうございます。これから一緒に今後のことを考えましょう」と。
初めて会った時もYさんが素直に自身のことを話してくれたから一緒に前に進むことができた、今回もここから丁寧にお話を聞こう、そう思ったのです。それから私は、現職に残った場合のメリットデメリットと、転職した場合のメリットデメリットを比較しました。
そして、初めてお会いした日に聞いた、Yさんの新たな環境で挑戦したい気持ちを改めて確認し、今、何を優先すべきかYさん自身でしっかり考えてほしいとお伝えました。
ここで私が強引に転職を勧め、無理やり転職をしたら後悔してしまう、自分自身で決断をしてほしいと思ったからです。そして、1週間ほど悩まれたYさんから、「このご縁を大切に、転職をしたい」とお返事をいただきました。
Yさんからお返事と一緒にいただいた言葉は今でも忘れません。
「私は転職活動の良き伴走者を得たと思います。伴走者を得ることが、こんなにも心強いものかと思いました」
私はいつも、ご相談者と良い距離感を保つことは本当に難しいなと思っています。
近づき過ぎても、傍観し過ぎてもダメ。
ただ、相手に理解を示し、真摯に寄り添う姿勢は常に忘れないように心がけています。その結果、今回のような“良き伴走者”となれた時に初めて、真に役に立つ転職サポートができたといえるのかな、と感じています。
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