「転職エージェントに相談したいけど、的確なアドバイスがもらえるか不安」
転職希望者の中には、このような方もいらっしゃるかと思います。
今回は、弊社所属キャリアコンサルタントの新井がよくある質問・相談をピックアップし、回答しました。
Q1: レガシーな開発環境から脱却したい
20代で、開発言語がcobolです。このレガシーな環境からいち早く脱却したいです。どうしたらいいでしょうか。もしくは他に何か選択肢がありますか?
A:これはよく聞かれます。Cobolの経験しかない人は、特に金融系のシステムに関わっている方が多いです。25~27歳くらいまででcobolを経験されていた方であれば、転職先はかなりあります。ただ、ご志向によっては選択肢がない可能性もあります。
例えば、cobolの開発をしてきて、ここから次の会社でオープン系、Web系のソースコードを書き続けることをご希望の方がいたとします。これはかなり厳しいです。
今、仕事以外でソースコードを書いている場合。iOSのアプリを作ったことがあったり、Javaの勉強をしているであったりと、誰かに形として見せられるものがあれば、場合によっては選択肢があるかもしれません。
しかし、仕事以外でソースコードを書いていない限りは、ソースコードを書くポジションでの転職は難しいです。
cobolで開発をしている方は、プライベートでソースコードを書いていない人が多いです。ですから、cobolから脱却し、プロジェクトマネージャー系のキャリアを目指す方向に行った方が選択肢は広がります。
なかなか言いづらいことですが、六大学以上や早慶上智の新卒で、ある程度大手のSIerに入っていて、cobolしか経験したことがない25~27歳までであればソースコードを書くポジションでの転職ができる可能性はあります。
今の転職マーケットでも学歴がいい人であれば、ポテンシャルを見て育てる前提で入社してからソースコードを書ける求人はいくつかあります。ただ、六大学以上でなければ、結果として内定が出ていない傾向にあります。
プロマネ系のキャリアが大半の方にお勧めですが、プロジェクトマネジメント系でも、大学の良し悪しが書類選考通過をかなり大きく左右します。
六大学以上の学歴があると、書類選考は通りやすいです。面接に進むチャンスも多くなります。学歴がかなり大事なポイントかもしれません。
例えば、六大学未満、もしくは専門卒、高卒の人がcobolだけで開発を行っていた場合、選択肢があるかです。
私が知っている中に、プライム上場企業で1社、非常にお勧めする会社があります。そこだと、私が推薦すれば現状は必ず書類選考に通ります。そういった会社もご提案できます。
Q2:年功序列で大規模なプロジェクトにPMとして関われない
新卒で入ったIT企業が年功序列で、5~10年しない限りは大規模なプロジェクトに関われず、プロジェクトマネジメントの経験が積めないのですがどうしたらよいでしょうか。
A:このような方は大手のIT企業で、年功序列の会社に入っているケースが多いです。この場合、そういう会社から脱却するしかありません。成果主義の会社に行くか、ボトムアップの会社に行くか、中途入社者が比較的多い会社に入って、成果を出した人が面白い仕事にアサインされる会社に行くことを考えてみてはいかがでしょうか。
今の転職マーケットでは大手のSIer、有名企業も採用ハードルをかなり下げて採用しています。成果主義の会社に行きたい場合は、転職先としては選択肢がかなり広いです。ぜひご相談していただけると幸いです。
Q3:転職してソースコードを書き続けたい
新卒で入社した会社が比較的大手で、継続して30代もソースコードを書き続けたい方からの相談です。
会社からはPM志向、もしくは管理を求められていました。しかし、ソースコードを書き続けたいと思い、転職活動を開始したのですが、何かアドバイスはありますか?
A:最近の担当した、30代前半で中堅SIerにいる男性の例を紹介します。
ソースコードを書きたいものの、このままでは書き続けることができないので、転職するしかない、と私に相談がありました。彼は1社しか受けませんでしたが、結果としてソースコードを書き続けられる会社に転職することができました。
ソースコードを書き続けたい方は、10人に1~2人はいらっしゃいます。大手SIerでも、中堅SIerでも、ソースコードを書き続けるキャリアを用意している会社はそれなりにあります。
しかし、よくあるのは、そういう会社の存在を転職エージェントではない限り知らないケースです。
また、ソースコードを書き続けるポジションは、プロジェクトマネージャー系のキャリアより年収が低いという勘違いも多いです。
実はソースコードを書き続ける人たちにも特別なラインを設けているので、PMと同じように高い年収をもらえる会社もあります。
ソースコードを書き続けたい方の中には、会社に入ってソースコードを書いて満足していたものの、将来的にPM側に異動したくなる方もいらっしゃるかと思います。ですから、入ってから自分で職種を変えられる、もしくはそれが可能な会社に転職した方がよいと考えております。
Q4:要件定義の経験を早めに積みたい
メーカー系のSIerにいますが、現職が二次請けで、要件定義の経験が積めません。要件定義に関わることのできるプロジェクトが少なく、要件定義の経験を早めに積みたいのですが、何かアドバイスはありますか。
A:このような質問は少なくなく、特に保険系のシステム会社、銀行系のSIer、メーカー系のSIerの方からの相談に多いです。
前述した会社にいらっしゃる方は、親会社側の情報システム部門が要件定義、もしくはその前の工程を全部行い、要件定義以降の基本設計からの工程にしか関われないことが多いです。
40代前半になって要件定義にようやく関われるようになりますが、それまでは関わることができません。
転職市場的には、キャリアとしてあまり良くないです。こういう会社にいる方は、30代前半までに要件定義の経験が積める会社に転職すべきです。
仮に30半ばになって要件定義の経験がないと、優良企業にはほぼ転職できなくなります。理想は、20代後半で早めに転職した方が、転職市場的にはキャリアが良くなるでしょう。
要件定義の経験があるかどうかが、職務経歴書でもかなり大事です。優良企業が書類選考を見る中でも、大きな要素となります。できるだけ早めに要件定義の経験が積める会社に行った方がいいでしょう。
Q5:とりあえず年収をあげたい
とりあえず年収を上げるために転職したいのですが、どうしたらよいでしょうか。
A:これは若手の方に多いです。
とりあえず年収を上げれば、他は何でもいいという考え方。さすがに、私もそういう人にはある程度諭します。とはいっても、年収軸で動いている方は、特に若い方にかなり多いです。
例えば、中堅SIerに入り25、26歳で10個上の先輩と同じ仕事をしているのに、年収200万ほどの差が開き、許せないという方も多いです。
また、大手SIerに入って年収軸が強すぎて、30歳で年収が700万円あるにもかかわらず「すぐに年収1,000万円が欲しい」と言ってくる方もいました。
今、二次請けの会社やSESの会社にいて、10個上の先輩と同じような仕事をしているにもかかわらず年収が低い方に関しては、一次請けの大手SIer、もしくは外資系コンサル、日系コンサルに行くと、年収が100万円以上上がるケースがあります。
特に今は採用マーケットがすごくいいので、人によっては200万円程度上がる方もいます。そういうところに転職するのも一つです。
一番難しいのは、大手SIコンサル系に新卒で入り、30歳で年収1,000万円の方です。
ある会社では、新卒で入れば、30歳で全員年収1,000万円を超えます。ただ、転職活動で年収を維持できる方はあまりいません。
それは、現職でスキルに見合わない年収をもらっているからです。その会社にいるから、たまたま高い年収をもらっているだけで、スキルを見て、他社に行くと年収が下がってしまう方もいます。こういった方の年収アップはできないことも、事実としてお伝えするケースがあります。
年収アップを目的にする転職活動も良いと思います。ただ、そういった方が特に注意しなければならないことは、提示される年収だけで企業を選ぶのは絶対にやめた方がいいということです。
例えば、今30歳で年収が600万円あったとします。二つの会社から内定が出て、1社は700万円、もう1社は800万円の提示があったとします。年収にこだわりがある人は800万の会社を選びがちです。しかし、入ってどこまでの年収が、何歳ぐらいで上がるのかをしっかり把握した上で会社を選んだ方がよいです。
Q6:とにかく外資系で働きたい
とにかく外資系に行き、外資系で働きたいのですがどうすればよいでしょうか。
A:外資系に行けば、英語を使えるから。格好いいから。そのような軸で転職活動をしている方は、意外と20代の方に多いです。
しかし、外資系企業で働くことを目的にしてはいけません。そのような考えは捨ててください。
今経験されている領域によっても違いますが、私は、汎用スキルを身に付けなくてはならないと思っています。転職して1、2年で満足し、その後よく分からないキャリアになるより、きっちりと市場価値の高い、汎用スキルが高くなる経験の積める会社に行った方がいいです。
結果、それが外資系企業で実現できるのであればいいと思います。ただ、外資系企業で働くことを目的にはしない方がいいです。
また、外資系企業に仮に行った場合、スキルに見合わない年収をもらう方が多いです。外資に転職して、その後日系企業に転職する場合、年収が下がることもままあります。それを知った上で、外資系企業を選ぶことも大事です。
Q7:SE→ITコンサルにキャリアアップしたい
SEで、ITコンサルにキャリアアップしたいのですがどうすればよいでしょうか。
A:この質問も多いのですが、ここで大切なのは、ITコンサルで働くことを目的にしないことです。
ITコンサルになって、その後何を達成したいのか、どういうキャリアを作りたいかを明確にして、ITコンサルに行くかどうかを判断した方がいいと思います。
場合によっては、ITコンサルに行かず、SIerに行った方が希望に合う方もいらっしゃいます。
例えば、25、26歳の方であれば若いので、コンサルの経験を積んで、30歳前後で転職活動を行い、その後事業会社に行ったり、ベンチャー企業に行ったりという選択肢が広がります。ですから、25、26歳の人がとりあえずコンサルに行くというのは、1パターンとしていいでしょう。
30半ばの方が初めてコンサルファームに行く場合、要注意だと私は思っています。
コンサルに行っても、さらにその後必ず転職活動はします。
30半ばでコンサルファームに行き、5年ほど経験すると40歳です。コンサル経験が5年となると、新卒で入りコンサルにいる方と比べてコンサル経験が少ないです。市場価値としては、微妙となる方も一定層いらっしゃいます。
30半ばからのコンサルへの転職は、いろいろな検討が必要です。
また、前提として、コンサルティングファームは日系でも、外資系でも転職をすると、その後ほぼ100%転職活動をします。他のコンサルに行く、事業者に行く、SIerに行くなど、いろいろな軸で皆さん転職活動をされます。
そこを踏まえた上で、次のコンサルファームを選んだ方がいいと思います。今、何となく働き方改革が進んでいるので、コンサルファームでも定年まで働けると勘違いしている人がいます。
働く人はいるかもしれませんが、厳しいです。そういう前提で、どういう転職先を選ぶか、気を付けた方がいいかなと思っています。
実は、ITコンサルは世の中にあふれています。皆さんが思っているほど市場価値は高くありません。目的がしっかりあった上で、次の選択肢を選ぶことが重要です。
Q8:残業時間を減らして給料を減らさずに転職したい
残業時間が多く、残業代が年収の3分の1を占めています。次の転職先では残業時間を減らしつつ、今と同じ年収をもらうか、もしくは、できれば年収を上げたいです。
A:これはなかなか厳しい質問となります。ご経歴にもよりますが、残業代で稼いでいる場合は残業代部分を除いた年収で、次の転職先を選んだ方がいい方が大半です。
自分の経験が同年代の人と比べて、どの程度の年収が妥当かを知った上で、その情報を基に転職先に希望年収を伝えた方がいいと思います。
残業代で高くなった年収を基に希望年収を伝える転職者は、求人企業からはかなり冷たい目で見られます。評価も低くなる傾向にあります。エージェントからも、「この人全く世の中を分からない人だ」と思われてしまう可能性もあります。
残業代で年収が高すぎる場合は、ある程度年収を下げる覚悟で転職活動した方がいいでしょう。
ただ、次に転職した会社で適正に年収が上がる会社を選ぶべきだと思います。そういう会社を探した方がいいです。
残業代で今の年収が高くなってしまっているにもかかわらず、さらにその年収を上げたい場合、そこへのこだわりが相当強い方、かつ、年収とスキルが見合っていない方であれば、転職をしない方がいいかもしれません。
Q9:ワークライフバランスが取れる会社に転職したい
30代前半です。コンサルファームで働いていますが、最近結婚して子供も生まれ、今までのようにたくさん残業することはできません。できるだけワークライフバランスを考えながら働ける場所を探しています。
A:こういう方は、時代の流れと共に増えてきています。
特に男性に多いのは、独身のときにコンサルファームへ転職し、働く時間を気にしていなかったものの、結婚をして、子供が生まれて育児に関わりたくなった場合です。
私は、こういった方はすぐに転職するしかないと思っています。
日系のコンサルファームでは、ワークライフバランスが取れて働ける会社もあります。残業20~40時間程度の、日系で上場しているコンサルティングファームはありますし、中堅コンサルティングファームもあります。
残業を減らし、コンサルの経験をそのまま生かしながら転職する方もいらっしゃいます。
その他には、事業会社に行くパターンもあります。
僕らが注力している事業会社だと、残業時間が20~30時間の場合や、フルリモートOKの会社もあります。コンサルから事業会社に行く方も多いです。
ワークライフバランスを取れる会社は結構ありますが、人事が言っている情報、もしくはエージェントが言っている情報は、あまり鵜吞みにしないことも大事です。
伝わっている情報が実は正しくないことも、私からするとかなりあります。
的確に企業情報を知っているエージェントから話を聞いた上で、ワークライフバランスが取れる会社かどうかは、皆さんご自身でも判断しなくては駄目だと思っています。
しかし、これは正直に言えば、入ってみないと分からない場合が多いです。
プロジェクトによって残業は変わりますし、企業の体制によっても残業が多くなるケースがあると思います。
最後の確認ポイントとしてお勧めするのは、内定が出た後のオファー面談です。ここでいろいろと確認することが大切です。
ただ、オファー面談でも事実が知れない可能性があります。いろいろな方に情報を聞いた上で、最終的には皆さんが自分で選択いただければいいと考えています。
Q10:汎用性スキルを身につけるために転職したい
今働いている会社で、特定の製品、パッケージを開発しています(導入している場合も含みます)。特定の製品には詳しくなるものの、汎用性の高いスキルを習得できるか分かりません。そのため転職を考えています。
A:この相談もよく受けます。
私のお勧めは、汎用スキルを身に付けることです。そこに不安を感じているのであれば、すぐに転職活動をした方がいいと思います。
特定のパッケージや、特定の人たちにしか扱われないようなシステム開発、導入をしている方は、転職市場での価値も会社によっては微妙です。
20代のうち、もしくは30代前半で、そこに不安を感じて転職活動している方を、求人企業側はウエルカムと見る場合もあります。
ですが、30代後半になって特定製品の経験しかない方は、市場価値として低く見られる傾向があります。要注意です。
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