20代からキャリアを考えたときに一つの目標となるのが「30歳で年収1,000万円」
実は、転職市場ではPL・PM経験がある人材の需要は増加しており、30歳で年収1,000万円は不可能な金額ではありません。
この記事では、PL・PM経験がある方のキャリアパスや年収1,000万円を超えるためのポイントについて、当社(コープラス)の現役キャリアコンサルタント新井への取材を元に解説します。
<新井の略歴>
アメリカの大学を卒業後、IT系ベンチャー企業にて経験を積み、人材採用のトータルソリューションカンパニーの人材紹介部門に転職。トップキャリアコンサルタントになり、コープラス創業メンバーとして参画しました。
その後、ビズリーチ「JAPAN HEADHUNTER AWARDS 2022」にてIT・インターネット部門のMVPを受賞しました。
また、全エージェント中、決定率、紹介決定者数、転職決定者数が【No.1】ということでリクルート社から表彰されました。(その他表彰歴はこちら)
〈この記事を読んでほしい方〉
- 20代~30代のPL・PM経験者の方
- PL・PM経験者でこれからのキャリアパスに不安がある方
- PL・PM経験がありこれから転職活動を始めようと考えている方
〈この記事のポイント〉
- PL・PM経験者で年収1,000万超えるならITコンサルほぼ一択
- 大手SIer出身者と中堅SIer出身者のどちらにも評価される点はある
- キャリアアップに繋がりやすい現役PL・PMのプロジェクト内容
転職市場のPL/PM需要とキャリアパス、年収
IT人材の需要が高まる中で、中でもPL(プロジェクトリーダー)とPM(プロジェクトマネージャー)の経験者は多くの企業で求められています。
「IT人材白書2020」では、「IT企業が重要と考え育成していきたいIT人材」に、プロジェクトマネージャーが従業員規模に関わらず35%以上を占めています。特に、従業員規模が1001名以上の大企業では60%を占めるなど、PMへの需要は企業規模問わず非常に高くなっています。
図1: 「IT人材白書2020」|IPA(独立行政法人情報処理推進機構)
PL・PMの需要が高まっている理由には、ITに関する知識だけではなく、高いコミュニケーション能力やマネジメント能力、プロジェクト管理能力を兼ね備えている点が主にあげられます。
PL・PM経験は様々な環境でも活用できるスキルセットであることからも、幅広いキャリアパスが考えられます。
<新井の一言>
特に、需要が高まっている背景としては、大手企業を中心として各社がDXを加速させるために、システム投資を拡大しています。そのため、慢性的なIT人材不足となっており、さらに、同業他社が積極的に採用しているため、優秀な方に内定を出しても内定辞退されてしまうことも多いようです。
ここからは、PL・PM経験者のキャリアパスについて紹介します。
外資系ITコンサル
外資系ITコンサルでも、即戦力となるPL・PM経験者の需要が高まっています。具体的な外資系ITのコンサルには以下のような企業名があげられます。
- デロイト トーマツ コンサルティング
- PwCコンサルティング/PwCアドバイザリー
- KPMGコンサルティング
- EYストラテジー・アンド・コンサルティング
- アクセンチュア
外資系ITコンサルは経営戦略や新規事業戦略などのイメージがあります。しかし、近年では業務改善からシステム導入、アウトソーシングなど戦略から実行までの企業の経営課題に対して幅広いコンサルティング業務を行っています。
PL・PM経験者が外資系のITコンサルで求められる理由は、ITやシステムに関する理解と実装における現場知識、プロジェクト管理能力などがあげられます。特に、描いた戦略を実行する部分ではPL・PM経験を生かしやすいです。
〈新井の一言〉
中途で外資系ITコンサルに入社した方がつまずくポイントがあります。ITやシステムを経営課題のソリューションとして組み立て、コンサルティングする点です。
SIer出身のPL・PMの方はどうしてもクライアントが作りたいものをヒアリングするため、受け身の姿勢になってしまう傾向があります。コンサル会社で求められるのは、クライアント企業の利益を最大化するための課題発見と課題解決のためにITの活用方法を提案する、という積極的な姿勢です。
外資系では、未経験中途入社者への教育体制はありますが、自らプロジェクト内で学ぶことが大事です。即戦力級のアウトプットが求められるため、最低限のコンサルティング力やロジカルシンキングなどは、業務時間外に自身での習得が必要です。
そのため、カルチャーマッチやライフワークバランスなどにこだわりがある場合、外資コンサルへの転職前にある程度のコンサルティング力を養っていないと入社したあとに苦しくなります。
もちろん、給与水準はトップクラスであり、30歳で年収1,000万円は珍しくない金額です。さらに、今後のキャリアを考えた際にコンサルファームでのマネージャーやシニアマネージャーではなく、事業会社での部長や事業部長といったキャリアパスも切り拓くことができます。
日系ITコンサル
外資系ITコンサルだけではなく、特に需要過多(バブル)に近くなっているのが、日系ITコンサルです。日系のITコンサルには、以下のような企業名があげられます。
- ベイカレント・コンサルティング
- ビジョンコンサルティング
- ディルバート
- ノースサンド
- フューチャーアーキテクト
- クニエ(QUNIE)
日系ITコンサル会社のプロジェクトは、IT戦略策定やコンサルティングだけではなく、システム導入やPMOなど様々です。
日系ITコンサル会社の特徴は、未経験者への教育体制と給与水準の高さがあげられます。
外資系ITコンサルがコンサル未経験に対しても即戦力のアウトプットを求める一方で、日系ITコンサルではPL・PM経験を生かしやすいプロジェクトから徐々にコンサルとしてアサインされるようになります。
〈新井の一言〉
日系ITコンサルは、外資系ITコンサルや外資系IT企業(IBM・セールスフォース・HPなど)に比べてもネームバリューが低いことから、高い給与が提示される傾向にあります。近年はどの日系ITコンサルも人材不足であるため、その傾向は顕著です。
特に業界での知名度が低く、質で評価されているような優良ITコンサル企業では、PL・PM経験者の採用が経営課題にもなっているほどです。
日系ITコンサルでは、PMやPLとして一定程度の経験を積んだ方であれば、30代で年収1,000万円も決して珍しくありません。大小問わず様々なプロジェクト経験を積めるため、転職後のキャリアの選択肢も幅広くなります。
事業会社
コンサル会社だけではなく、事業会社においてもPL・PMの需要は高いです。リクルートや楽天、ファーストリテイリングなど名だたる大企業から、スタートアップやメガベンチャーまで様々な転職先があります。
多くの事業会社は、コンサル会社とはビジネスモデルや利益率が異なるため、事業会社への転職では30代で年収1,000万円を稼ぐのは簡単ではありません。優秀層は30前半で管理職になり、1200万くらいの年収をもらっている方もいます。
事業会社でのキャリアは、自分の手で世の中にインパクトがあるプロダクトを開発できるため、やりがいを求める方や事業作りに携わりたい方にとっては魅力的な環境といえます。
〈新井の一言〉
事業会社でPL・PM経験者が求められるのは、プロジェクト進行や開発マネジメント経験を生かした、システム企画と開発マネジメントです。ベンダー側の理解がある人材を採用することで、コストや期間などを含めて現実的にプロジェクトを進められるため、会社にとっても効率的な成長を実現できます。
事業会社への転職での注意点としては、転職後の携われるプロジェクトの新規性があげられます。例えば、一つのプロダクトがある程度出来上がっているメガベンチャーでは、新規の開発というよりも保守や改善といった業務がメインになりやすいです。
ベンチャーという環境や事業会社という環境を求めて転職しても、やっていることは保守ばかりとなってしまってはその後のキャリアパスは先細りしやすいです。
そのため、事業会社を選ぶ際には以下のようなポイントをもとにした、事業会社との相性の見極めが欠かせません。
- 事業投資など体力のある会社なのか
- 定期的に新規事業を生み出す社風か
- 自身の成長に必要な経験を積むことができる会社なのか
PM/PL経験者が転職で年収1,000万円超を狙う方法をエージェントが解説
コープラスはPL・PM経験者の転職支援実績が豊富な業界特化型の転職エージェントです。多くのPL・PM経験者の転職をサポートしてきており、年収1,000万円を実現した方を多く見てきています。
ここからは、コープラスのトップ転職エージェント新井が、PL/PM経験がある30代で年収1,000万円を実現した転職者の方の特徴や転職のポイントについて解説します。
30代で提示年収1,000万円近くの転職者事例
主にPL・PM経験のある30代で年収1,000万円近くを提示されるのは、2つのパターンです。
- 【元請け折衝がメイン】大手SIerにてPM/PL経験あり
- 【2次請けがメイン】中堅SlにてPM/PL経験あり
それぞれの事例や転職者が評価されたポイントについて解説します。
【元請け折衝がメイン】大手SIerにてPM/PL経験あり
まず一人目は、大手のSlerに勤務しているPL・PM経験者です。
大手Sler出身の方の場合は、プロジェクト規模が多く商流の中でも上流にいるため、プロジェクトの全体像やクライアント側に近い経験を積んでいます。そのため、顧客折衝が多い外資系ITコンサルや日系ITコンサルからの評価が高くなりやすいです。
〈新井の一言〉
特に、大手Slerで評価されるのは「要件定義経験」です。一般的なプロジェクト管理だけではなく、上流だからこそできるプロジェクト全体を描いた「要件定義経験」は高い評価を得やすいです。さらに、ITコンサルなどでは、直接クライアント側との折衝があるため、「炎上案件」や「修羅場経験」も高く評価されます。
もちろん、すべての人が評価されるわけではありません。例えば、大手Slerでは同じプロジェクトのみに属していたりと、社内業務のプロフェッショナルになってしまうことがあります。このような場合、汎用性が利かない人材として転職市場では評価が低くなりやすいです。
【2次請けがメイン】中堅SlにてPM/PL経験あり
二人目は、中堅SIerに勤務しているPL・PM経験者です。
いわゆる二次請けがメインとなっている開発会社出身の方は、意外と自身の市場価値を理解していない方が多いのが特徴です。実は、このような中堅SIerは若いうちから大規模なプロジェクトに絡めることが多く、大手で現場経験が少ない若手よりも高い評価を得やすいです。
〈新井の一言〉
特に「見積もり経験」があるという方は、評価が高くなりやすいです。ベンダーとのやり取りがある日系ITコンサルや事業会社では、開発にかかるコストの適正価格やプロジェクトの規模感がわかる、という人材は非常に重宝されます。見積もり経験というのは、大手SIerでは年次が経ってから経験することが多いため、他の志望者との差別化になることが多いスキルセットです。
中堅SIerであっても、PL・PMというレイヤーで活躍できていた場合、転職を通じて30代で年収1,000万円も決して難しくはありません。
エージェントが黄色信号を灯す30代のPM/PL経験者の特徴
様々な方の転職支援をする中で、年収アップが難しく、転職を勧めたくないと感じる方も少なからずいるのが実際です。ここからは、そのようなPL・PM経験者の方の特徴をご紹介します。
特定案件で社内スペシャリストになっている
特定案件で社内スペシャリストとは、同じ案件・クライアントを長期間担当しており、職歴が長くてもプロジェクト経験数が少ない状態を指します。実は、「特定案件で社内スペシャリスト」は、非常にリスクが高い状態です。最も避けたほうがよい状況ともいえます。
特に長期のプロジェクトに若い年次から関わっている場合には、30代になったときに担当プロジェクトが少なく、必要な経験を積めていないことが多いです。さらに、会社側としても、異動させづらいためなかなか成長機会も得られません。
〈新井の一言〉
特定案件のスペシャリストになっている場合には、まずは転職して環境を変えるか、様々なプロジェクトの経験を積めるように社内で交渉することが必要です。短期的には年収が変わらない、もしくは落ちる可能性もありますが、将来的なキャリアを考えた場合、社内でしか通用しない業務のスペシャリストであり続けることは、キャリア上で最も避けるべき選択といえます。
開発ではなく保守案件しか経験がない
保守経験しかないPL・PMも転職市場では評価されにくいです。提示年収が高い日系ITや外資ITコンサルで担当するのは、開発の案件であることがほとんどであり、保守の経験はあまり求められません。
保守経験がキャリアのメインとなるPL・PMは、年収が下がることは少ないですが、大幅な年収アップは期待することは難しいです。
〈新井の一言〉
自身の担当プロジェクトが以下のようになっている場合、すぐに経験が積める環境へ移ることをおすすめします。
● 保守案件が業務の大部分を締めている場合
● 新規開発案件のPL・PM経験がない場合
実態ではなく社格やブランドに惹かれている
社格とは、会社のブランド名や業界内での会社の格付けのようなものを指します。社格がある会社のわかりやすい例が、外資であればBig4やアクセンチュア、国内であれば野村総合研究所やNTTデータなどの大手有名企業です。
このような会社はもちろん歴史があり、地名度が高いことからも家族や友人からの評価も得やすいです。しかし、同時に給与水準や社内競争、教育体制も知っておく必要があります。
〈新井の一言〉
例えば、社格で劣る会社は優秀な人材を高い年収で獲得するか、未経験でも育てる教育体制を構築する必要があります。そのため、実は年収という点でいえば、年収1,000万円を提示できるのは、社格で劣る会社の方が多いケースもあります。さらに、ある程度経験がなくても、教育体制が整っているためより多くの成長機会を得られる場合があります。
社格やブランドだけで転職先を判断してしまうと、企業の実態など本質的な部分が見逃がしてしまい、ついつい自分に合っていない会社に転職してしまう可能性があります。家族や友人への見栄や、自身の憧れは一旦横に置いておき、冷静な判断ができるようにしておきましょう。経験豊富な、キャリアコンサルタントのアドバイスも重要です。
PM/PL経験ありの転職者の年収のリアル
PL・PM経験は専門性が高いため評価が難しく、なかなかリアルな情報というのは世の中に出にくくなっています。特に、初めて転職する方にとっては、数年前の情報をもとに転職活動をしてしまっていることもあります。
ここからは、PL・PM経験がある転職者の年収のリアルな情報を紹介します。
外資ITコンサルは必ずしも高給取りにならない
外資ITコンサルは高級取りというイメージはもちろん今も昔も変わりません。実力主義の外資ITコンサルで結果を出せば、「年収1,000万円どころか2,000万円も夢じゃない!」と思うかもしれません。
しかし、外資だからといっても給料が簡単に上がるわけではありません。
例えば、国内での評価がよかったとしても、本国本社の業績の影響でそこまで昇給できない可能性もあります。さらに、大手ほど旧態依然の人事制度があるので、経験年数による出世や昇給になりやすいのも現実です。
〈新井の一言〉
正直外資ITコンサルは、コンサル出身ではない人からすれば、求められるアウトプットが高すぎるので、労働時間も長くなりやすいです。仕事が大好きでプライベートも犠牲にできる人でなければ、給与の割には厳しい環境ともいえるかもしれません。
今後5年は日系ITコンサルがもっとも狙い目
今後5年で最も年収を期待できるのは、日系ITコンサルです。日系ITコンサルの特徴は以下の3点です。
- 慢性的な人材不足なので提示年収を高くしてでも採用している
- コンサル案件からPL・PM案件まであるのでステップごとに成長しやすい
- 超優秀層が少ないため社内が過当競争になっていない
ITコンサルへの転職を考えている人にとって、やはり憧れとなるのは、外資ITコンサルやネームバリューのある大手ITコンサルです。そのため、あまり社格が高くない日系ITコンサルを受けない方も多いです。
このような日系ITコンサルでは、自身の経験に応じたプロジェクトにアサインされる可能性も高く、提示年収も高くなるのでオススメです。
〈新井の一言〉
日系ITコンサルでは優良企業であっても、社歴が浅いことや採用ブランディングに取り組んでいないことで、業界では有名でも一般的には知名度が低い会社がいくつもあります。聞いたことがない会社やブランドで劣る会社であっても幅広い会社を知っておくことで、より高い年収を得られる可能性を広げられます。
昇給率や年収の上げ止まり事例を知っておく
日系ITコンサルへの転職を考える際に、注意しておきたいのが昇給率や年収の上げ止まり事例です。昇給率とは、どのぐらいの割合で給料が上がるのかの割合のことを指します。
例えば、現職の年収600万の方が、年収900万円を提示された場合、およそ300万円もの大幅な年収アップとなります。しかし、昇給率が低ければ、その後の年収がほとんど変わらないこともあります。
一方で、現職の年収600万円に対して、年収800万円の提示でも昇給率が高ければ、3年後か5年後には年収1100万になっている可能性も大いにあります。
つまり、目先の年収だけでなく、その後の昇給率などもとても大事なポイントだということです。
〈新井の一言〉
3年目で◯◯万円や5年目で役員など、魅力的な情報を聞くことはあります。しかし、特別優秀な社員や数年前の水準である可能性もあります。もちろん、転職者の方にとっては、昇給率や給与については採用担当者に直接は聞きにくい話題です。
しかし、目先の提示年収だけではなく、平均的な給与水準や転職後の昇給率、上げ止まりの事例の有無は、エージェントを通じて必ず確認しておく必要があります。中には、そのような情報を全く持っていないエージェントもあるので、そのようなエージェントは利用しない方が良いです。
あなたのPL・PM経験を理解できるエージェントを選んでください
PL・PM経験は、専門性が高いためなかなか第三者が評価しにくく、自身でも強みや評価しにくい職種です。転職時には自分のスキルを正しく理解し、評価できるエージェントを選ぶことが必要になります。
コープラスでは、PL・PM経験者を中心としたIT人材の転職サポートを専門で行っております。経験年数も長く、企業と人材の両面を担当しているからこそ、求人企業と転職者の双方にとって、ベストマッチな提案をすることが可能です。
PL・PMで現職にお悩みの方はぜひ一度コープラスにご相談ください。
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