転職を考えるとき、まず気になるのはご自身の年収だと思います。今よりどれくらい上がるのか、将来どこまで伸びそうか。これはとても自然な視点です。
ただ、家族を持っている方や、これから子どもを育てていきたいと考えている方にとっては、「個人としていくら稼ぐか」と「世帯としてどんな暮らしになるか」は、必ずしも一致しません。たとえば「世帯年収1,500万円」と聞くと、かなり余裕のある暮らしを想像する方も多いと思います。実際のところはどうなのか。
この記事では、関東圏で子ども2人を育てるケースを一例に、世帯年収1,500万円のリアルな見え方と、そこに届くためのキャリアルートの考え方を整理してみます。
もちろん、これは一概に言い切れる話ではありません。住む地域によってかかる費用は変わりますし、家庭ごとの金銭感覚や物欲の強さ、何にお金をかけたいかも違います。公立中心で考えるご家庭もあれば、教育にはしっかり投資したいと考えるご家庭もあります。その前提のうえで、「こういうケースもあるんだな」と身近に感じていただけるよう、世帯年収の感覚とキャリア設計のつながりをお伝えします。
世帯年収1,500万円の生活感
たとえば、ご相談いただいた中に、こんなご家庭がありました。
40代後半のPMの方で、大手SIerで課長職。個人年収は1,350〜1,400万円ほど。配偶者はパート勤務で年収100万円前後。世帯年収にするとちょうど1,500万円前後、というご家庭です。お住まいは東京、お子さまは2人で、上のお子さまはすでに私立中高大一貫校に通われていて、下のお子さまも中学受験をします。
年収の数字だけを見れば、十分にゆとりのある世帯に見えると思います。それでも、ご相談に来られた背景には、「思っていたほど余裕を感じられない」という実感があったためです。
内訳を伺っていくと、その感覚にはいくつかの理由がありました。
まず、額面1,500万円の世帯手取りは、内訳にもよりますがおおよそ1020万円〜1130万円ほど。月にすると約85万円〜94万円といったところです。ここから、住宅ローンの返済、上のお子さまの私立一貫校の学費、下のお子さまの塾や習い事、食費・日用品・通信などの生活費、保険や車関係——と積み上げていくと、毎月手元に残るのは想像していたよりも少ない、というのが正直な感覚だったとのことでした。
さらに、お子さまの大学進学が見えてくるタイミングでもあり、住宅ローンの残債、ご自身の老後資金、ご両親世代のサポートも視野に入る年齢です。「今は回っているけれど、この先5年〜10年を考えると、もう少し厚みがほしい」という感覚は、決して贅沢な悩みではなく、世帯年収1,500万円というゾーンでは比較的よくお聞きする話です。
このゾーンの難しさは、児童手当の所得制限や各種補助の対象外になりやすく、税負担も大きい。だからこそ、「ご自身の年収が高い」と「世帯として余裕がある」は、必ずしも一致しないのです。
繰り返しになりますが、これは「1,500万円では足りない」という話ではありません。住む地域や教育方針、何にお金をかけたいかによって、必要な水準は大きく変わります。ただ、「世帯年収1,500万円」という数字を外から見たときの印象と、その内側で暮らしている感覚との間には、思っているより距離があることがある——この点は、転職とキャリアを考えるうえで、頭の片隅に置いておく価値があると思います。
大手SIerのキャリアを、年収の「到達時期」で見る
先ほどの40代SIerの方のように、1,500万円前後を目指すケースを、大手SIerのキャリアで考えてみます。
大手SIerは、安定感や働きやすさ、社会的信用の面で非常に魅力的な環境です。実際、長く働く場所として合っている方も多いと思います。
一方で、年収の伸び方を「どこまで届くか」だけでなく「いつ届くか」で見ると、少し違った見え方になります。
一般的に、大手SIerでは、年収1,500万円クラスに届くのは部長職前後、つまり40代後半〜50代にかけて、というケースが多いです。課長クラスまでは比較的イメージしやすい一方で、その先はポスト数も限られ、昇格競争も厳しくなっていきます。
もちろん、これは企業や評価制度、本人の実績によって差がありますし、一律に言える話ではありません。ですが、少なくとも「大手SIerにいれば自然と1,500万円に届く」というよりは、そもそも1500万に届かない可能性が高い、もしくは届いた場合でもある程度時間をかけて到達していく年収カーブであることが多い、という理解のほうが実態には近いと思います。
そのため、子どもの教育や住宅、老後資金などを踏まえて「30代後半〜40代前半くらいで、もう少し高い水準まで届いていたい」と考える方にとっては、今いる会社の延長線上でその実現可能性を見てみることが大切です。
コンサルは、「同じ年収でも到達時期が早い」
一方で、ITコンサルやコンサルティングファームのキャリアは、同じ年収水準を目指す場合でも、到達までのスピード感が異なります。
未経験からでも比較的高い水準からスタートしやすく、その後、マネージャーやシニアマネージャーといったポジションに進む中で、30代〜40代前半のうちに1,200万円〜1,500万円、さらにその先を視野に入れられるケースがあります。評価が高い方は、30代で1500万、40代で2000万以上を稼いでいる方も多い業界です。
もちろん、その分だけ求められる成長速度や成果水準も高く、向き・不向きもありますし、誰にとっても最適とは限りません。
ただ、世帯として必要になりそうな水準をある程度早めに作っていきたい、という考え方を持つ方にとっては、コンサル転職は非常に合理的な選択肢になります。
ここでも大事なのは、「コンサルのほうが上」という話ではありません。そうではなく、「どのキャリアルートなら、どの時期に、どのくらいの年収水準まで届きやすいか」を比較したときに、見え方が変わる、ということです。
転職先を比較するとき、年収の現在値だけでなく、3年後・5年後・10年後の到達イメージまで見る。これができると、目先の条件差だけでは判断しにくかったものが、ぐっと整理しやすくなります。
ご家庭のライフイベント(教育費のピーク、住宅ローンの返済計画など)と、年収カーブが届くタイミングを重ねて見たときに、どのルートが現実的か。この重ね合わせができると、「コンサルか、SIerか」などという二項対立ではなく、「自分たちの家計設計に合っているのはどちらか」という問いに変わります。
キャリアは、「今いくらか」より「いつどこまで届くか」で考える
転職で年収を見ることは、まったく悪いことではありません。むしろ当然のことです。
ただ、家族との暮らしまで含めて考えるなら、視点は少しだけ広げておいたほうがいい。今の提示年収だけではなく、
- この会社で3年後にどこまで伸びるか
- 5年後にどのポジションを狙えるか
- その水準が、家族のライフプランに合っているか
- 配偶者の働き方と合わせて、世帯としてどの水準を目指すか
- 世帯全体で見たときに、無理のない選択肢か
こうした観点を持つことで、転職は単なる条件比較ではなく、「人生設計に合った選択」に変わっていきます。
特に、子どもを持つことを考えている方、すでに子育て中の方にとっては、キャリアの話と生活の話は切り離せません。だからこそ、少し現実的な数字の話や生活感の話も含めて考えることが、結果的には安心につながります。
そして、実はこういうリアルな話をきちんとしてくれる転職エージェントは多くありません。求人票の年収レンジや企業のブランドだけではなく、その先の暮らしまで含めて話すことは、耳ざわりのよい話だけでは済まないからです。
それでも、転職は人生の大きな意思決定です。だからこそ私たちは、希望をただ後押しするだけでなく、その希望が生活の中でどう実現されるのかまで、できるだけ率直にお伝えしたいと考えています。
コープラスに相談してみませんか
「今の会社でこのまま年収はどこまで伸びそうか」 「子育てや今後の生活を踏まえると、どんなキャリアが現実的か」 「自分の場合、転職で何を優先して考えるべきか」
こうした問いに対して、コープラスでは求人票の条件だけではなく、生活感やライフプランまで含めて一緒に整理していきます。
希望をそのまま肯定するだけではなく、「そのキャリアで、いつどれくらいの水準まで届きそうか」「その水準は、ご家族の暮らしにとってどうか」といったところまで、できるだけ具体的にお伝えします。
コープラスは、IT・コンサル領域に特化した20年近い実績を持ちます。ビズリーチ「JAPAN HEADHUNTER AWARDS 2022」IT・インターネット部門でMVPを受賞(登録エージェント9,000名以上の中からナンバーワン選出)したコンサルタントも在籍しており、主要なコンサルファームとの信頼関係を長年にわたって築いています。また、求職者と求人企業の両方を同一担当者が担当する「両面型」モデルを採用しているため、企業が本当に求める人物像を踏まえた的確な提案が可能です。チームのコンサルタントはITエンジニア・コンサル業界出身者も在籍しており、書類の言語化から面接対策まで現場目線でサポートします。
転職を、単なる年収アップの話ではなく、これからの人生設計として考えたい方は、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
世帯年収1,500万円という数字は、外から見れば余裕のある水準に見えても、家族構成や住む場所、教育方針によって、その実感はかなり変わります。だからこそ、転職を考えるときには、ご自身の年収だけでなく「世帯としてどんな暮らしを設計したいか」から逆算して、必要な年収やそこへの到達スピードを考えていくことが有効です。
もちろん、必要な水準は住む地域や家庭の金銭感覚、教育方針、何にお金をかけたいかによって大きく変わります。したがって、この記事でお伝えした内容も、あくまでひとつの参考例にすぎません。
それでも、「個人としてはいくらか」だけでなく、「世帯としてどんな暮らしになりそうか」まで含めて転職を考えてみると、選ぶべきキャリアプランはかなり変わってきます。
大切なのは、不安を煽ることではなく、自分たちにとって無理のない生活と、納得できるキャリアの両方を見据えることです。そのためには、「今いくら上がるか」だけでなく、「いつ、どこまで届きそうか」という視点でキャリアを見ることが、とても有効だと思います。