インフラエンジニア転職完全ガイド|市場価値・年収・キャリアパスを徹底解説
新井 洋企
2003年にネバダ州立大学ラスベガス校卒業後、SEとして勤務した後、2004年に株式会社ディスコに転職。ディスコの人材紹介事業部にて IT、コンサルティングファーム業界を担当。 その後、2007年に当時の事業部長と共にスピンアウトし、株式会社コープラスの設立当初より参画。 ビズリーチ「JAPAN HEADHUNTER AWARDS 2022」にてIT・インターネット部門のMVP(No.1)を受賞。
内田 潔
1986年、株式会社ディスコに入社し、大手企業の新卒採用コンサルティングに従事。その後、企画開発部門にて日経就職ナビ(当時)や人材紹介など、数々の新規事業立ち上げを牽引。 2001年に同社の人材紹介部門を分社独立させ、代表取締役に就任。2006年に同社を退任し、株式会社コープラス設立。 代表取締役就任。現在に至る。
インフラエンジニアとして働くなかで、「このまま今の会社にいて大丈夫だろうか」と感じたことはないでしょうか。クラウドへの移行やAIの話題を見るたびに、自分の経験が数年後も通用するのか不安になる——そういう相談は少なくありません。
先に結論をお伝えします。今はIT人材そのものが不足していて、インフラエンジニアはどの会社も採用したがっています。オンプレミス(以下オンプレ)の経験しかない方でも転職はできますし、実際に活躍している方はたくさんいます。「クラウドをやっていないと転職できない」ということはありません。
ただし、今の自分がどこにいるかによって、選べる求人の幅や年収の上がり方は変わります。この記事は、オンプレ中心の方から、すでにクラウドの設計構築まで手がけている方まで、現役インフラエンジニアの方全員に向けたものです。市場価値の決まり方・年収の相場・キャリアの選択肢・転職先の選び方・成功事例までを、転職支援の現場で見てきた実態から順に解説します。
結論:市場価値は「クラウド・設計・資格」で決まる
インフラエンジニアの市場価値は、突き詰めると次の3つで決まります。
- クラウドの経験があるか
- 設計構築まで手がけているか
- 資格を持っているか(特に経験が浅いうちほど評価されます)
この3つがそろっているほど、応募できる求人が増え、年収も上がりやすくなります。
ただし、これは「そろっていない人はダメ」という話ではありません。オンプレだけの経験でも、運用保守が中心でも、転職の道はきちんとあります。
逆に、すでにクラウド設計構築を経験している人にとっては、次の課題は「経験を積むこと」ではなく「その経験をどの会社で高く評価してもらうか」に変わります。まずは自分が今どこにいるのかを知り、そのうえで次の一手を選ぶことが重要です。
インフラエンジニアの転職市場——需要は高いが、評価は分かれる
エンジニアは今、どの職種も人手が足りていません。アプリもインフラも同じで、企業は「採れるなら採りたい」という状況です。
そのうえで、採用意欲が高いことと、誰もが同じ評価を受けることは別の話です。
同じインフラエンジニアでも、これまでの経験によって、選択できる求人も提示される年収も変わります。その差を生むのが、次に見ていく3つのモノサシ——クラウド、設計、そして資格です。
自分の現在地を確かめるためのものと考えてください。
市場価値を決める3つのモノサシ
クラウドの経験があると評価は上がる
転職市場での評価として、クラウドの経験があると評価は上がります。世の中の多くの案件そのものがクラウド中心に移ってきたからです。5年ほど前はクラウドを扱える人が珍しく、それだけで強みになりました。今は扱えて当たり前に近づいていて、経験があるほど応募できる求人が増え、年収の上限も高くなります。
設計構築の経験が評価される
設計構築まで手がけている人ほど、市場価値は高く評価されます。オンプレのみの経験であっても、設計や構築は、要件に合わせてゼロから組み立てる仕事なので、応用が利き、別の会社でも通用しやすいからです。一方、運用保守は、決められた手順に沿ってシステムを支える仕事が中心になりがちで、それだけだと「どの現場でもできる経験」と見られ、ほかの人との違いを出しにくくなります。
運用保守が中心でも転職はできます。ただ、そのまま続けると、特に30代以降で応募できる求人の幅や年収の伸びが小さくなりやすいのは事実です。そこからどう動くかは、キャリアパスの章で詳しく説明します。
資格取得は経験が浅い方ほどプラスαの評価になる
資格そのものが経歴を底上げしてくれるわけではありません。ただ、「やりたいことに向けて準備している」「自分で学ぶ姿勢がある」ことを伝える、わかりやすい材料になります。特に経験が浅いうちは、この差が書類選考の通過率にはっきり表れます。
逆に、市場価値が高くなる環境で経験を積んできた人は、実務そのものが証拠になるので、資格は必須ではありません(もっとも、そういう人ほど実際は取っていることが多いのですが)。資格取得は経験が浅い人ほどご自身の経歴をより高く評価してくれるモノサシ、と覚えておいてください。
インフラエンジニアの年収相場
ここからは実際の年収の目安をお伝えします。前提として、これはIT業界の人気企業を想定した数字で、企業の給与水準によって上下します。「必ずこうなる」ではなく、だいたいの目安として捉えてください。
現在地別の年収の目安
| 現在地 | 20代 | 30代 |
| オンプレ・運用保守が中心 | 350〜450万円(大手なら550〜600万円も) | 伸びは緩やかになりやすい |
| オンプレ・設計構築まで | 600〜700万円 | 800〜900万円 |
| クラウド・保守運用 | 600〜700万円 | 800〜900万円 |
| クラウド・設計構築 | 700〜800万円台 | 1,000万円前後 |
ざっくり言うと、運用保守だけより設計構築、オンプレだけよりクラウドの経験があると、年収も上がっていきます。
企業タイプ別の年収の目安
同じ経験でも、どの会社にいるかで水準は変わります。
| 企業タイプ | 20代 | 30代以降 |
| 外資系 | 800万円 | 1,000〜1,200万円 |
| 事業会社(社内SE) | 600〜700万円 | 800〜900万円 |
| 大手SIer | 800万円 | 1,000万円前後 |
| インフラ領域のコンサルファーム | 800〜900万円 | 1,200〜1,500万円 |
| スペシャリストを高く評価する会社 | ― | 1,500〜2,500万円のことも |
クラウド経験者が年収の頭打ちを超えるには
すでにクラウド設計構築の経験を積んでいる人がぶつかりやすいのが、年収の頭打ちです。大手SIerや事業会社は安定している一方で、1,200万円あたりで上限になりやすい傾向があります。
これよりもさらに上を目指すなら、技術を高く評価する会社、インフラ領域のコンサルファーム、外資などがその候補で、20代で800万円台、30代で1,000万円を超えている人なら、転職先次第で1,500〜2,500万円のレンジも見えてきます。実力があるのに伸び悩んでいると感じるなら、それは能力ではなく、今いる場所の上限にぶつかっているだけかもしれません。
なお、これは目先の年収の話だけではありません。経験を積みにいく段階では、入社時の年収より「市場価値が上がる経験を積めるか」を優先したほうが、数年後の年収は高くなります。
今の年収が転職市場でどう評価されるかは、”自分の市場価値の測り方”でもくわしく触れています。
インフラエンジニアのキャリアパス(4つの道)
現在地別キャリアパス早見表
自分がどのタイプに近いかで、まず狙う一手が変わります。
| 今の現在地 | まず狙う次の一手 |
| オンプレ・運用保守が中心 | 設計構築に関われる会社へ。20代なら資格取得(AWS・Azureなど) |
| オンプレ・設計構築まで | クラウド経験を足す、またはオンプレのまま長く働ける会社を選ぶ |
| クラウド・保守運用が中心 | 設計構築の経験を積み、より単価の高い案件へ |
| クラウド・設計構築まで | スペシャリストを高く評価する会社・コンサルファーム・外資で年収を上げる |
① クラウドへ広げる
オンプレの経験を土台に、AWSを中心としたクラウドへ広げる道です。選択肢も年収の伸びもいちばん大きく、若いうちに転職するほど有利です。すでにクラウドの経験を積んでいる人は、より大規模な設計やアーキテクチャなど、深いところへ広げていく段階になります。
ひとつ知っておきたいのは、クラウドの経験を積みたくて転職しても、入社してすぐの配属が必ずしもクラウド案件とは限らないことです。まずは経験のある領域から入り、経験を積みながら少しずつクラウド案件に移る、という順番が現実的です。
② オンプレの専門性を深める
クラウド一択ではありません。オンプレの設計構築は今もしっかり評価され、長く働ける会社への転職も十分できます。年収を最大化するより、安定して長く働くことを大事にしたい人に向いた道です。
③ コンサルファーム(インフラ領域)へ進む
コンサルファームというと戦略を描く上流の仕事だけだと思われがちですが、実際には設計・構築から運用改善まで幅広く関わります。
ネットワークやサーバ、ミドルウェアといったインフラ領域にも「課題を整理して解決する人」の需要があり、コンサルファームでインフラを担当する道です。年収の伸びが大きく、30代で1,200〜1,500万円も狙えます。
任される案件はクラウド中心のことが多いので、すでにクラウドや設計構築の経験がある人にはむしろ有利です。逆に、運用保守の経験だけからいきなり移るのは難しく、先に設計構築の経験を積んでおくほうが結果的に近道になります。
④ スペシャリストとして技術を極める
管理職に進まず、特定の技術を深く突き詰める道です。オンプレでもクラウドでも、技術に尖った人は高く評価されます。
スペシャリストを高く評価する企業では年収1,500万円を超え、「マネジメントには行きたくないが年収は上げたい」という人の現実解になります。
転職先の選び方(企業タイプ別)
安定を取るか、年収を取るか
年収の水準は、転職先の企業タイプで変わります。安定して働きたいなら大手SIerや事業会社、年収を大きく上げたいならスペシャリストを高く評価する会社やコンサルファーム、という選び方が基本です。
じっくりチームで働きたい人には、外資系は向きません。大手SIerは安定していますが、年収は1,200万円あたりで頭打ちになりやすい点は、はじめから知っておきましょう。
事業会社の落とし穴:保守も設計も給料が同じになりがち
一つ注意したいのが事業会社です。事業会社では、保守運用でも設計構築でも社内の給料テーブルが同じ、ということがよくあります。相対評価なので、能力の高い人が設計を担っていても一部しか評価されず、むしろ保守運用のほうが給料が高い、という逆転すら起こります。
事業会社(社内SE)の経験が長くなると危機感を持ちにくく、気づかないうちに市場価値が下がっていた——というのは、転職相談でよく出会うパターンです。安定は魅力ですが、自分の市場価値が今どうなっているかは、ときどき外から確かめておくことをおすすめします。(事業会社の年収が頭打ちになる理由|評価制度・課長昇進・出向のリアル )
AIでインフラエンジニアの仕事はなくなるのか
「インフラの仕事も自動化でなくなるのでは」という不安をよく聞きます。ここは落ち着いて判断しましょう。
自動化が進みつつある仕事
アプリ開発では、要件定義からテストまでを担うAIツールの話題が出ています。ただ、インフラ側で同じように実務を置き換えているという話は、今のところほとんど聞きません。置き換わりが進みそうなのは、運用の自動化や、セキュリティの一部(脆弱性の診断など)です。
当面は人が担う「設計」の仕事
一方で、全体を見渡してシステムを組み立てるアーキテクチャの設計や、信頼性・セキュリティの設計は、当面は人が担うと見られています。つまり「仕事がなくなる」というより、「作る側・設計する側へ役割が移っていく」というのが実態に近いです。
過度に不安になる必要はありませんが、運用だけにとどまらず、設計や構築といった上流に軸足を移していく意識は持っておいて損はありません(生成AI・Devinが台頭する時代に、ITエンジニアが「生き残る」キャリアパターンとは?)。
【事例】3名のインフラエンジニアの転職
現在地の違う3名の転職事例を、匿名でご紹介します。
ケース①:クラウドの設計構築で年収を大きく伸ばした
異業種からIT業界に入り、中堅のSIerでAWSの設計から構築まで一貫して経験した方です。資格も精力的に取り、30代前半で年収を大きく上げて、スペシャリストを高く評価する会社への転職を決めました。経験の質・資格・行動がそろった、王道の成功パターンです。
ケース②:オンプレのまま長く働ける会社へ
オンプレ中心にネットワーク設計の経験を積んできた30代の方です。年収を最優先にするのではなく、「腰を据えて長く働けること」を軸に会社を選び、納得のいく転職をしました。オンプレからオンプレへの転職でも、選び方次第で満足度の高いキャリアになります。
ケース③:運用保守からクラウドへ少しずつ
新卒でインフラ組織に配属され、運用保守から設計構築へと着実に階段を上り、「クラウドをもっと深くやりたい」とクラウドに強い企業へ転職された方です。AWSの資格も積み上げ、オファー年収も大きく上がりました。段階を踏んで市場価値を高めた例です。
3人に共通するのは、現在地は違っても、それぞれ「自分の軸」を持って動いたことです。オンプレのみの経験者でも、クラウド経験者でも、正解は一つではありません。
転職を成功させる準備
まず自分の現在地を棚卸しする
最初にやることは、自分がどのモノサシのどこにいるか(オンプレかクラウドか、運用か設計か)と、それらが市場でどう評価されるかを正確につかむことです。ここがずれていると、次の一手も的外れになりかねません。
足りない経験や資格を補う
経験が浅いなら、AWSの資格は費用対効果の高い一手です。運用保守が中心なら、設計構築に関われる環境かどうかを、次の企業選びの優先条件にします。すでにクラウド設計構築の経験がある方は、資格の上積みより「どの会社なら今の経験を高く評価してくれるか」を見極めるほうが良いでしょう。
エージェントに市場価値を聞く
自分の経歴が今の市場でどう評価されるかは、企業の採用基準を毎日見ているエージェントに聞くのがいちばん確実です。求人票や診断ツールの数字だけでは、実際にいくらのオファーが出るかまでは見えてきません。
よくある質問(FAQ)
Q. オンプレの経験しかありませんが、転職できますか?
A.できます。今はどの企業も人手が足りず、オンプレの経験者にも求人はあります。社名にこだわりすぎず、面接での受け答えに大きな問題がなければ、内定は十分に出ます。年収も転職先次第で上がるか横ばいで、下がることは基本ありません。
Q. クラウドは今から始めても遅くないですか?
A.遅くありません。ただ、広げたいなら早いほうが有利です。始め方としては、まずAWSの資格を取り、転職後は経験のある領域から入って少しずつクラウドの仕事に移っていく、という流れが現実的です。
Q. すでにクラウドの設計構築をしています。さらに年収を上げるには?
A.転職先を変えるのが近道です。大手SIerや事業会社は1,200万円あたりで頭打ちになりやすいので、技術を高く評価する会社・インフラ領域のコンサルファームなどが候補になります。今の会社で伸び悩んでいるなら、能力ではなく場所の上限にぶつかっている可能性があります。
Q. 資格はないけれど実務経験は豊富です。不利になりますか?
A.ほぼなりません。評価の高い環境で実務を積んできたなら、その実務が評価されます。資格が高く評価されるのは、まだ経験が浅い段階です。
Q. 運用保守からいきなりコンサルファームに行けますか?
A. 難しめです。コンサルファームの仕事は全体像を理解していることが前提になるので、先に設計構築の経験を積むのが結果的に近道になります。
Q. AIでインフラエンジニアの仕事はなくなりますか?
A. 運用の自動化やセキュリティの一部は置き換わる可能性がありますが、設計や構築は当面、人が担うと見られています。「なくなる」より「設計・上流へ移っていく」と考えるのが実態に近いです。
まとめ
インフラエンジニアの転職で押さえておきたいポイントをまとめると、
- 今はIT人材が不足していて、オンプレのみの経験者でも転職はできる。「クラウド一択」ではない
- 市場価値は「クラウド」「設計構築」「資格」の3つで決まる。まず自分の現在地を知る
- 年収は現在地と企業タイプで変わる。大手SIerは1,200万円あたりで頭打ち、技術特化の企業やコンサルファームは伸びしろが大きい
- すでにクラウド経験がある人は、「どこで働くか」を変えることで年収の頭打ちを超えられる
- 事業会社は保守も設計も同じ給料になりがちで、社内にいると市場価値の低下に気づきにくい
- AIは「仕事をなくす」より「設計・上流へ役割を移す」方向。過度に不安がる必要はない
コープラスのコンサルタントに相談してみませんか
「オンプレのままでいくべきか、クラウドに広げるべきか」「すでにクラウドを経験しているが、今の年収は妥当なのか」——こうした問いは、求人票や年収診断ツールを眺めているだけでは答えが出てきません。
同じインフラエンジニアでも、現在地や経験の深さ、会社の水準によって、出会える求人もオファー年収も大きく変わるからです。
コープラスでは、あなたの経歴をもとに、今の市場でどのくらいのオファーが出そうか、どの方向に動けば市場価値が上がるかを、耳の痛いことも含めて正直にお伝えしています。目先の一社だけでなく、5年・10年先を見据えたキャリア設計をご一緒するのが私たちの考え方です。
担当エージェントチームにはビズリーチSランクコンサルタントが多数在籍しており、「JAPAN HEADHUNTER AWARDS 2022」IT・インターネット部門で9,000名以上の中からナンバーワン選出を受けたコンサルタントも在籍しています。そのチームが対応します。
「まだ転職するか決めていないが、自分の現在地を知っておきたい」という段階からでも、ぜひお気軽にご相談ください。