ユーザー系SIer・システム子会社は本当に安定か|30代・40代の市場価値と転職のリアル
新井 洋企
2003年にネバダ州立大学ラスベガス校卒業後、SEとして勤務した後、2004年に株式会社ディスコに転職。ディスコの人材紹介事業部にて IT、コンサルティングファーム業界を担当。 その後、2007年に当時の事業部長と共にスピンアウトし、株式会社コープラスの設立当初より参画。 ビズリーチ「JAPAN HEADHUNTER AWARDS 2022」にてIT・インターネット部門のMVP(No.1)を受賞。
内田 潔
1986年、株式会社ディスコに入社し、大手企業の新卒採用コンサルティングに従事。その後、企画開発部門にて日経就職ナビ(当時)や人材紹介など、数々の新規事業立ち上げを牽引。 2001年に同社の人材紹介部門を分社独立させ、代表取締役に就任。2006年に同社を退任し、株式会社コープラス設立。 代表取締役就任。現在に至る。
大企業グループのシステム子会社(ユーザー系SIer)への転職を検討されている方から相談をお受けすることがあります。
「親会社から仕事が降ってくるから安定していそう」「有名グループ企業の傘下で働けるから安心感がある」——こうしたイメージを持たれることが多く、その感覚はよく理解できます。ただ、安定の中身と、30代後半以降に転職市場でどう評価されるかについては、事前に知っておいた方がいい現実があります。
ユーザー系SIerが「安定」に見える理由
ユーザー系SIerの最大の特徴は、親会社からシステム開発・運用の仕事が優先的に回ってくることです。外部の競合に仕事を取られるリスクが低く、安定した受注が見込めます。そのため業績が大きく崩れることは少なく、雇用の安定性という点では確かに高い部類に入ります。
年収レンジもキャリアを積めば1,000万円前後に達するケースが多く、「背伸びしすぎずに安定した仕事をしたい」という期待には概ね応えてくれます。
ただし、この安定は「自ら案件を獲得する能力が身につかないSE、且つ、転職することを想定していない中での安定」ということを理解しておく必要があります。
「仕事が降ってくる体質」がキャリアに与える影響
親会社からシステム案件が自動的に流れてくる環境は、見方を変えると「主体的に提案・営業・交渉する機会が生まれにくい環境」でもあります。
外部のクライアントに対して提案し、スコープを定義し、コストや期間を交渉する——こうした経験は、コンサルや事業会社の上流ポジション、転職市場で高く評価されるスキルです。ユーザー系SIerに長くいると、この種の経験が積みにくいという側面があります。
実際に20代でユーザー系SIerに入社した方で、向上心の高い方は数年で「このまま働き続けると市場価値が伸びないな」と感じ、転職していくケースが多いです。上司を見渡したときに「自分がなりたいと思える人がいない」と感じやすい環境でもある、という声もよく聞きます。優秀層が出ていくことで、残るのは現状維持志向の方が中心になっていく——これもユーザー系SIerの構造的な特徴です。
30代後半で転職市場に出たとき何が起きるか
30代後半以降にユーザー系SIerから転職活動をすると、評価のギャップに戸惑う方が少なくありません。
ある方のケースをお伝えすると、ユーザー系SIerで20年以上キャリアを積んだ40代前半の方が、「市場に出てみたら書類選考が全然通らない」と相談に来られました。親会社向けの大規模システムの保守・運用に携わり、社内では評価も高かった。それでも、外部から見ると「仕事を取りに行った経験がない」「クライアントと直接交渉した経験がない」という点がネックになっていました。コンサルはもちろん、事業会社の上流ポジションへのチャレンジも、想定より難しい状況でした。
「難易度の高いプロジェクトにおいて、クライアントと厳しい条件交渉や利害調整を行う“ハードネゴシエーション”の経験が不足している」という評価は、30代後半以降になると厳しく見られます。
ユーザー系SIerに向いている人・向いていない人
誤解のないよう言うと、ユーザー系SIerがすべての人に向いていないわけではありません。
「年収は1,000万円前後で十分」「安定した雇用を長く続けたい」「ライフイベントを優先したい時期がある」——そういった優先順位の方にとっては、ユーザー系SIerは期待に応えてくれる環境です。福利厚生も整っていることが多く、長く安定して勤め続けることができます。それはそれで、一つの合理的な選択です。
一方、「30代のうちに年収1,500万円を目指したい」「転職市場での価値を高めながらキャリアを積みたい」「主体的に提案する仕事をしたい」という場合には、「入れば安定する」という理由だけで選ぶと、数年後に「思っていたキャリアにならなかった」と感じやすくなります。
まとめ
ユーザー系SIerへの転職を考えるときに押さえておきたいポイントをまとめると、
- 親会社から仕事が降ってくる構造のため、雇用の安定は本物
- ただし「仕事を取りに行かない体質」がキャリアに染みつき、転職市場での評価が低くなりやすい
- 向上心の高い優秀層は数年で出ていく傾向があり、残る方が保守的になりやすい
- 30代後半以降に転職市場に出ると、ハードネゴシエーションの経験不足がネックになることが多い
- 安定志向・年収1,000万円前後で十分という方には合う環境。1,500万円を早期に目指すなら別の選択肢を
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「ユーザー系SIerに行くべきか、コンサルを目指した方がいいか」——この判断は、求人票の条件だけでは見えてきません。どちらが「今の自分の志向と将来のキャリアに合っているか」を整理することが先です。
コープラスでは、候補者の方がどういった優先順位でキャリアを考えているかを丁寧に確認した上で、希望を全肯定するのではなく率直にお伝えしています。担当エージェントチームにはビズリーチSランクコンサルタントが多数在籍しており、「JAPAN HEADHUNTER AWARDS 2022」IT・インターネット部門で9,000名以上の中からナンバーワン選出を受けたコンサルタントも在籍しています。そのチームが対応します。
「まだどちらにするか決まっていない」という段階からでも、ぜひお気軽にご相談ください。