「ITコンサルは自分には無理」と感じるSIer・SESの方へ|20代・30代が抱きがちな「誤解」
小倉 拓真
三重県松阪市生まれ。IT業界特化のエージェントでトップレベルの成績を収め、LINEヤフーでは広告部門賞を受賞。再び人材紹介業に戻り、 IT・コンサル・製造業の転職支援で最年少リーダーに昇格するなど、各社で顕著な実績を残す。 その後、片面型ではなく両面型のエージェントとして、候補者様と企業様の双方のターニングポイントに深く関わりたいという思いからコープラスに参画。
新井 洋企
2003年にネバダ州立大学ラスベガス校卒業後、SEとして勤務した後、2004年に株式会社ディスコに転職。ディスコの人材紹介事業部にて IT、コンサルティングファーム業界を担当。 その後、2007年に当時の事業部長と共にスピンアウトし、株式会社コープラスの設立当初より参画。 ビズリーチ「JAPAN HEADHUNTER AWARDS 2022」にてIT・インターネット部門のMVP(No.1)を受賞。
「ITコンサルには興味がある。でも、これまでの経験で通用するのか自信がない」——20代・30代でSIerやSESに身を置く方から、よく聞く言葉です。残業が多いのではないか、専門性が足りないのではないか、技術力が落ちてしまうのではないか。気持ちはよく分かります。ただ、私たちが日々求職者と向き合っている立場から言わせていただくと、その不安のほとんどは「コンサルファームの昔のイメージ」に引っ張られているだけのことが多いのです。
結論からお伝えします。今、20代・30代のSIer・SES出身者こそ、ITコンサルのメインターゲットです。そして、同じような経験者の入社が多く、入社後キャッチアップできています。この記事では、よくある4つの不安を一つずつ取り上げ、なぜそれが誤解なのかを正直にお話しします。
そもそも、SIerの転職先は大きく「3つ」
不安の話に入る前に、少しだけ前提を整理させてください。SIerやシステム開発系のクライアントワークをしている方が次のキャリアとして選べる道は、大きく分けると3つあります。同業のSIerへ行くか、事業会社(社内SE)へ行くか、コンサルへ行くかです。どれが正解ということではなく、それぞれに向き不向きがあります。一つずつ、メリットとデメリットを見ていきましょう。
同業のSIerへの転職
これまでの経験をそのまま活かせるので、環境の変化が少なく、馴染みやすいのがメリットです。一方で、仕事の進め方や年収レンジが今と大きく変わりにくいため、キャリアや収入を一段引き上げたい方には物足りなく感じられることもあります。
事業会社(社内SE)への転職
自社サービスにじっくり関われる、客先常駐から離れられるといった魅力があります。ただし、実は3つのなかでもっとも難易度が高い転職先でもあります。学歴や年齢が問われやすく、ポジションも限られるため、よほど条件が噛み合わないと入れないのが実情です(事業会社への転職の難しさについては別記事で詳しく解説しています→[事業会社の年収が40代で頭打ちになる理由|評価制度・課長昇進・出向のリアル – CO+ Career Consulting(コープラス)])。
コンサルへの転職
後ほど詳しくお伝えするように、これまでの経験が幅広く活き、年収や市場価値を伸ばしやすいのが大きな特徴です。新しい環境への適応や、自ら学び続ける姿勢は求められますが、その分だけリターンも大きい道だと言えます。
このように3つそれぞれに良さがありますが、年収という観点で見ると違いははっきりします。大手SIerや人気の事業会社に転職できたとしても、最大年収はおおむね1,200〜1,300万円あたりで頭打ちになりがちです。これに対してコンサルへ進むと、1,500万円を超える水準も比較的狙いやすくなります。
大手SIerにいる40代・50代には、課長になれなかったまま年収900〜1,100万円ほどで滞留している方が少なくありません。この方々が転職活動をしても今より良い会社には移れず、結局とどまる。会社側も、高コストなベテラン層を抱えながらAIで開発コストを削減するという、ちぐはぐな状況に入りつつあります。それを見た20代・30代のスマートな人たちが「この会社に未来はない」と判断し、コンサルへ転職する——これが今まさに起きている流れです。
▼大手SIerの年収記事
年収1500万円はSIer・事業会社では届かない理由|コンサル転職で実現する道筋 – CO+ Career Consulting(コープラス)
▼大手SIerの構造についての記事
大手SIerへの中途転職で後悔する理由|昇進の壁・残業実態・技術格差 – CO+ Career Consulting(コープラス)
不安①「経験不足で通用しないのでは」——目的が違うので、気にしすぎなくて大丈夫
多くの方が「コンサルは難しい仕事だから、自分の経験では足りない」と考えがちです。ですが、SIerとコンサルではそもそも仕事の目的が違うだけで、求められる難易度そのものは大きく変わりません。役割が違うのです。
コンサルの目的は、ITという軸を通じてクライアントの課題を解決し、業務を改善することです。SIerで積んだ経験は無駄にならず、別の角度から活きてきます。実際、基本設計までしか経験していない方、詳細設計までの方、場合によっては運用保守が中心だった方でも、コンサルへ進んで活躍している事例はいくらでもあります。
大事なのは、経験の「量」よりも、課題を解決したいという姿勢があるかどうか。そこさえあれば、これまでの経験不足については過度に心配する必要はありません。
不安②「自分の専門性は通用しないのでは」——コンサルは全工程を扱うから、むしろ活きる
「ITコンサル=上流だけをやる仕事」という思い込みも、よくある誤解です。正確には、コンサルは上流「も」やるのであって、上流だけをやるわけではありません。
コンサルは課題解決のプロですから、関わる範囲は企画・構想から要件定義、基本設計、テスト、そして保守運用の改善まで、全工程に及びます。最近、ある面接で「上流をやりたい」と言いすぎてしまい、「この人はコンサルを分かっていない」と評価を落としたケースもありました。テストフェーズの改善もあれば、保守運用フェーズの改善もある。それがコンサルの実態です。
つまり、改善すべき要素は上流から下流まですべてに存在します。だからこそ、要件定義の経験がある人も、基本設計の人も、テストの人も、保守運用の人も、それぞれ評価されます。あなたの専門が工程のどこにあっても、活かせる場所は必ずあるのです。
不安③「カルチャーや激務が不安」——ある一部の日系コンサルファームであれば、昔のイメージは当てはまらない
「コンサル=月100時間残業、up or out」というイメージを持つ方は多いです。ですが、それは外資系や戦略系の、難易度が突出して高い一部のファームの話。そこと今の日系コンサルを同じものとして判断してしまうのは、もったいないことです。
10年ほど前までは、コンサルといえば有名で難易度の高い会社しかなく、入るのも実際に難しかった。ところが「DX」が叫ばれるようになってから、新しいファームが次々に生まれ、SIer出身で経験がまだ豊富ではない人も、育成を前提に採用する流れができました。専門卒、経験が浅い方でもチャンスがあり、稼働時間も比較的抑えられている。こうした日系の新しいファームは、まさに今の20代・30代にとって現実的な選択肢です。
しかも、日系のコンサルは入社後に放置することは基本的にありません。基本は教育前提の採用ですし、自分から声をかければサポートも得られます(この点、外資は手厚くないので注意が必要です(外資コンサル記事))。
ただし、激務で無い場合がほとんどであって残業が全くないわけではありません。市場価値の高い仕事は、年収が高い分、残業が10〜20時間で終わるものではありません。月40-50時間程度の残業は、この業界ではむしろ標準的だと考えておくほうが現実的です。求人票の残業時間を額面通りに受け取らないこと。とはいえ、家族がいる方でも無理なく続けられる範囲であり、外資の100時間労働とは別物です。年収と市場価値を上げていくうえで、ここは前向きに捉えておきたいポイントです。
不安④「技術力を失うのでは」——むしろ、中途半端な技術への固執こそリスク
エンジニアの方が最後まで迷うのが、この「技術力を失うのではないか」という不安です。これについては、はっきりお伝えしたいことがあります。
AIにより様々な技術が代替されていく中で、転職市場で本当に求められる技術力は、「一流」の人のものだけです。30歳で年収1,000万円を得ているようなトップクラスのエンジニア・アーキテクトは、これからも継続して求められるでしょう。しかし、そこに到達していないレベルで中途半端な技術を追いかけ続けることは、むしろ市場価値を下げるリスクになりかねません。
考えてほしいのは、「技術の道に戻れなくなるのが怖い」のではなく、戻ろうとすること自体がリスクになり得る、ということです。一流でないのであれば、その道を追いかけるのは得策ではありません。転職市場から求められていないキャリアを積んでも、自己満足で終わってしまう恐れがあります。
仕事では、市場から求められる領域で、自分の得意な部分を伸ばしていく。やりたい・やりたくないという好みではなく、市場価値が上がるかどうかで選ぶ。優秀な一流のエンジニアがいる環境で、エンジニアとしてではなくコンサルとして学んでいく——そのほうが、長期的にはずっと良い結果につながります。今のSIerに居続けるよりも、コンサルへ進んでキャリアを作り、年収を上げていく。最終的に得をするのは、間違いなくこちらの道です。
未経験からの転職例
経歴が決して強いとは言えない方でも、内定を得ている例をいくつか紹介します(個人が特定されないよう、内容を一部調整しています)。
20代半ばの男性
SES企業で1社経験し、基本設計・詳細設計・実装をローコード中心に経験していた方です。専門学校卒で、専攻はIT分野ですらありませんでした。JavaやPythonでの開発経験はほぼなく、開発系の企業は軒並み見送りに。ところが直近で少し携わったPMO経験が評価され、コンサルファームから内定を獲得しました。
20代半ばの女性
ERPの運用保守サポートが中心で、経験業務はユーザー権限の管理・付与がほとんど、開発経験はゼロという方でした。それでも、社内のシステム導入プロジェクトでリーダーを務め、要件整理やスケジュール管理、ステークホルダー調整を経験していたこと、さらに自ら社内向けの英語研修を企画・導入した主体性が評価され、年収約360万円から約550万円へとアップして転職されています。
20代前半の男性
大学を中退し、高卒扱い、社会人キャリアは2024年スタートで、Javaを使った詳細設計を2年目から経験していました。このような詳細設計以降の経験のみの方も、年収400万円から500万円でコンサルへの転職を実現しています。
共通しているのは、「自分の経験を、課題解決の視点でどう語れるか」でした。今この記事を読んでいるあなたと同じような経験の方が、現に活躍しています。
まとめ
20代・30代のSIer・SES出身者がITコンサルを目指すうえで押さえておきたいポイントをまとめると、
- SIerからの現実的な転職先は3つ。市場価値と年収を上げるなら、コンサルがもっとも合理的な選択になりやすい
- 経験不足は気にしすぎなくてよい。SIerとコンサルは目的が違うだけで、求められる難易度は大きく変わらない
- コンサルは全工程の課題解決に関わるため、要件定義・設計・テスト・保守運用、どの経験も活きる
- 激務・厳しいカルチャーは外資・戦略系のイメージ。日系の新しいファームは育成前提で間口が広く、サポートもある(ただし月45〜50時間の残業は標準と考える)
- 中途半端な技術への固執こそリスク。市場から求められるキャリアで得意を伸ばすほうが長期的に得をする
コープラスのコンサルタントに相談してみませんか
「自分の経験で、本当にコンサルが務まるのか」。あなたの工程経験や強みが、どのタイプのファームの、どのポジションで活きるのか。それは、業界の内情と一人ひとりのキャリアを照らし合わせて初めて見えてくるものです。
コープラスでは、SIer・SES出身の方がコンサルへ踏み出す際の不安を一つずつ整理し、経験の棚卸しから書類の言語化、面接対策まで伴走しています。
IT・コンサル転職支援チームにはビズリーチSランクコンサルタントが多数在籍しており、「JAPAN HEADHUNTER AWARDS 2022」IT・インターネット部門で9,000名以上の中からナンバーワン選出を受けたコンサルタントも在籍しています。
「興味はあるけれど、まだ踏ん切りがつかない」という段階からでも構いません。ぜひお気軽にご相談ください。