自分の市場価値の測り方——転職前に知っておきたい「適正な年収」とその評価構造
辻 拓也
中央大学法学部卒業後、大手医療機器商社に入社し、ドクターへの医療機器等の営業を経験。その後、人材業界を志し、大手人材紹介会社にて11年ほど経験。2024年にコープラスに入社。 前職では年間最優秀賞(MVP)などの表彰歴が多数ございます。 とにかく求職者様ファーストで【圧倒的な情報量】と【誠実さ】でサポートいたします。
新井 洋企
2003年にネバダ州立大学ラスベガス校卒業後、SEとして勤務した後、2004年に株式会社ディスコに転職。ディスコの人材紹介事業部にて IT、コンサルティングファーム業界を担当。 その後、2007年に当時の事業部長と共にスピンアウトし、株式会社コープラスの設立当初より参画。 ビズリーチ「JAPAN HEADHUNTER AWARDS 2022」にてIT・インターネット部門のMVP(No.1)を受賞。
「自分の市場価値はどのくらいでしょうか?」
転職相談でこの質問を受けることは多いですが、正確に答えられる人はほとんどいません。「現職の年収が800万円なので、同水準を希望したい」という方も多いのですが、その800万円がどこから来ているのかを分解してみると、スキルベースの市場価値とは異なる部分が含まれていることがしばしばあります。
この記事では、市場価値とは何か、どう測るか、そして測る上で多くの人が陥りがちな落とし穴をお伝えします。
「市場価値」の定義——一言で言えば、今の転職市場でいくら出るか
市場価値とは、シンプルに言えば「自分が転職活動をした場合に、どの水準のオファーが出るか」です。年収という数字で表れることが多く、例えば「30代前半で年収1,000万円のオファーが出る人」は市場価値が高いとされます。
ただし、ここで一つ理解しておいてほしいことがあります。市場価値は「あなたの能力の絶対値」ではなく、市場のニーズとの掛け合わせによって決まります。同じスキル・経験を持っていても、時代・業界・タイミング・企業のニーズによって評価は大きく変わります。
たとえば同じ人に対しても、コンサルファームが「今すぐこのポジションで採用したい」と判断すれば想定より高いオファーが出ることもありますし、採用枠が埋まっていれば出ないこともあります。独立系SIerとユーザー系SIer、外資系企業と日系企業でも年収相場は異なります。「自分の市場価値はいくら」と一つの数字で断言することが難しいのはこのためです。
年収の内訳を分解する——何がスキルで、何がそうでないか
自分の市場価値を把握するためには、まず今の年収の「中身」を理解することが出発点になります。
現職の年収が高い場合でも、その中身が以下のような要素を含んでいることがあります。
会社固有の給与水準による影響
業界内で給与水準が高いことで知られている会社(大手金融SIer・大手グループ系など)に在籍している場合、スキル以上の年収が上積みされているケースがあります。転職活動をしてみて初めて「今の年収は、会社のブランドが乗っかっている部分が大きかった」と気付く方は少なくありません。
こうした企業から転職する際に年収が下がることがありますが、それはスキルへの評価が下がったわけではなく、「適正年収に戻った」という見方が正確です。
手当・社宅・各種補助
住宅手当・家族手当・通勤手当・社宅などが含まれている場合、見かけの年収は高く見えます。ただし、これらは制度が変わればなくなる可能性があるものであり、転職先で同じ制度があるとは限りません。転職先との年収比較をする際に、手当込みの年収を基準にすると判断の軸がずれやすくなります。
社宅制度についてが一番わかりやすい例です。
「30歳まで入寮可」といった制度がある企業の場合、31歳になってからは全額家賃を払う必要があります。結果として、可処分所得が下がります。ただしこれは市場価値とは無関係です。
市場価値を測る4つの方法
実際に自分がどう評価されるかを知るには、情報収集が必要です。以下の方法を組み合わせると、より正確な感覚がつかめます。
① エージェントに話を聞いて、オファー年収を確認する
転職エージェントは日々、企業の採用ニーズと候補者の評価情報を持っています。自分の経験・スキルを伝えた上で「私のような経験だと、どのくらいのオファーが出そうか」を率直に聞くことが、最もリアルな情報源です。
ただし、エージェントの質によって回答の精度は大きく異なります。「候補者のスキルを正確に読み取り、企業の採用基準と照らし合わせられるエージェント」を選ぶことが前提になります。
② スカウト型サービスの反応を見る
ビズリーチなどのスカウト型サービスにレジュメを登録すると、どの業界・規模・年収帯の企業からスカウトが届くかを確認できます。スカウトの量・質・年収帯は、一つの市場評価の参考になります。ただし、注意も必要です。スカウトメールに記載している年収は、エントリーをもらうために高めに設定されている可能性があります。
③ 求人票と自分の経験を比較する
希望する会社・ポジションの求人票を複数確認し、「どのくらいの経験・スキルを求めているか」と自分の経歴を照らし合わせます。「8割以上当てはまる」か「5割程度しか当てはまらない」かで、現時点での勝負できるラインが見えてきます。
市場価値診断ツールに頼りすぎない
近年、「市場価値診断ツール」というものがあります。スキルや経験年数を入力すると、年収の目安が出るというものです。
ただし、こうしたツールは基本的にスキル名・年数・技術スタックといった表面的な情報をもとに計算されています。
プロジェクトの難易度・規模・企業名・役割の深さ・業界のニーズとのマッチングといった要素は、ツールには反映されにくいです。そのため、結果として出てくる数字が実態と大きくずれることもあります。
市場診断ツールは人材系企業がリリースしているサービスですが、その診断結果を現年収よりも高く提示できるような仕組みにして、その企業への登録を促す目的もあります。
参考として活用するのは構いませんが、診断結果を「自分の市場価値の答え」として受け取るのは注意が必要です。
まとめ
自分の市場価値を測る上で押さえておきたいポイントをまとめると、
- 市場価値は「市場のニーズとの掛け合わせ」で変わるため、一つの数字で断言することは難しい
- 今の年収に含まれる「会社固有の給与水準 」「手当」「残業代」は、スキルの市場価値とは切り離して考える
- 実際の評価を知る最善の方法は、優柔なエージェントへの相談
- 市場価値診断ツールは表面的な情報しか反映していないため、参考程度に留める
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「今の年収が市場でどう評価されるかを、正直に教えてほしい」——この問いに向き合うには、スキル・経験・在籍企業・業界動向を総合的に把握している人間が必要です。
コープラスでは、候補者の経歴をもとに、転職市場でどのくらいのオファーが出やすいかをお伝えしています。耳の痛いことも含めて正確な情報をお伝えするのが、長期的なキャリア設計につながると考えているためです。「現職の年収が高いが、転職したらどうなるか不安」「自分が今いくらで評価されるか知りたい」という段階からでも、ぜひお気軽にご相談ください。
IT・コンサル転職支援チームにはビズリーチSランクコンサルタントが多数在籍しており、「JAPAN HEADHUNTER AWARDS 2022」IT・インターネット部門で9,000名以上の中からナンバーワン選出を受けたコンサルタントも在籍しています。